中期的なインパクトが不明(2017年12月)平成29年

 アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエル国の首都として認めたことを受けて、てんやわんやになっています。

 いっぽう、国連安全保障理事会【UNSC】では、われらが日本が議長国となっています。
 この前までは「北朝鮮問題をめぐってどこまで存在感を示せるかが課題です」みたいなノンキな報道がされていましたが、にわかに日本にほぼ無関係な問題について議事進行しなければならなくなりました。
 下手を打てばイスラム諸国から憎悪を買うかもしれませんが、「日本はアメリカの犬だから責任能力はない」と正しく解釈してくれることを願うしかありません。

 ところで、この問題にまったく興味のない人にとっては、「トランプが首都として認めたからなんなん?」というところではないかとも思います。
 トランプもアメリカも宇宙法則をつかさどっているわけではないし、テルアビブから大使館をうつすといったって、事実上イスラエル国内の引っ越しだけでしかなく、別に土地を強制徴収して大使館の建物を建てるわけではないでしょう。

 ぶっちゃけ、無宗教のおおかたの日本人が思うように、今回の件は「要するにメンツの問題なのね」という結論で間違っていないと思います。

 それゆえにイスラム諸国の元首・首脳にとっても、メンツの問題だけでどこまでアメリカと対立するかというメンドクサい問題が発生しており、誰が誰を攻撃するのかまだよくわからない状況であるといえます。

 とはいうものの、どこかの国(イランを除く)がアメリカと本気で対立したり、大規模テロが起きたりすると、また悪い意味での盛り上がりが起きてくるかもしれません。
 中期的なインパクトが不明というのは、そういうことです。

カタルーニャ危機が示す根本的な変容(2017年11月)平成29年

 ものすごくザックリいってしまえば、冷戦終結後、北米と西欧は自らを「自由と民主主義と人権の認定者」として自認してきたフシがある。

 1990年代のユーゴスラヴィア内戦。ドイツの雑な対応で大変混乱したが、コソボ独立に対してはスペインの反対にもかかわらずこの独立を承認した。そして、スペインの予想通り、こんにちの事態とあいなったわけである。

 コソボが独立を「許された」のになぜカタルーニャはダメなのか?
 それはスペインが、いまや、民主主義国家しか加盟の許されないEU=「自由と民主主義と人権の認定者」の一員であり、スペインの憲法や法律を守らないものは反・民主主義的な存在に決まっているからである。
 EUも、「EUの根本は法治」と法を守ることを要求している。なぜならEUは民主主義的な国の集合体であり、それらの国の法治=民主主義なのだ。

 カタルーニャの独立を認める立場として、現地にいる人たちの意見や歴史的に他と違うことが挙げられている。
 現地にいる人たちには移民系が最大で4割・イスラム教徒が7%との調査もあり、今後2030年までに「人種構成」がガラリと変わる可能性がある。今の時点の人々の意見だけで決めてよいものなのだろうか。
 歴史的なことを言い出したらスペイン国内だけでもバスクのみならずアラゴン、レオン、カスティリャ、ガリシアもなにかあれば独立していいという話になる。

 だが、そんなことはどうでもよく、根本はカタルーニャの独立を認めれば、ヨーロッパの法治そのものへの威信の低下を招くことにある。
 ドイツでもメルケル首相が組閣に失敗しつつあるが、再選挙があり仮にCDUと組むバイエルンのCSUが与党になれず、新しい連邦政府が反バイエルン的な政策をおこなった場合、CSUはいつでもドイツ基本法を無視してバイエルン独立を実行できる、となれば、あとはもう芋づる式である。

 国際的にも、21世紀初頭から続く、西欧による対中土下座お金くれ外交にウンザリしている域外の国々の人々も多い。
 ウクライナとロシアの問題で、西欧の連中が放った間抜けな言葉の数々のうち、一番印象に残っているのは、「中国様は、もはやロシアごときと国連安全保障理事会で行動を共にされないだろう」というような趣旨のものだ。
 ロシアをなめてかかるわりには、中国には平身低頭。しかもまったくハズしている。

 イギリスのウィリアム王子がこの前訪日したとき、フランスのAFPは「日本の皇室なんかと違って、オープン」だときゃあきゃあしている日本の女子高生だか女子大生のインタビューの映像を配信した。
 だがウィリアム王子は、(ありていにいってしまえば)金目当てで中国にペコペコしにいくついでに日本にファンサービスしに来ただけである。
 デンマーク女王のマルグレーテ2世も、中国で、あの国が主張するままの日本の悪さの宣伝に使われた(が、デンマークのことなど別に誰も気にしていないので大して気にされなかった)。

 そう、ヨーロッパは王室を使ってまで対中土下座お金くれ外交をしている。
 (余談だがウィリアム王子とマルグレーテ2世は、男系ではともにオルデンブルク家→グリュックスブルク家の系統である)

 これらの状況が全体にわかってしまうと、欧州文化などアホらしくてまともに相手にする気が起きなくなる、といいたいが、残念ながら洗脳は簡単にとけないので、たぶん一定程度以上の年齢の人が西欧崇拝から解放されるのは不可能だろう。

 しかしそのような洗脳の少ない下の世代が増えてきたとき、それはさらなる混乱への幕開けの原因のひとつになるだろう。